<<いざ!、南半球に!!!>>

 バスに揺られ18h、予定より一時間早く、国境の町イピアレスに着いた。ここから再び自転車にまたがって行くつもりだったのだが、韓国人のおばさんに国境付近は物騒だから、キトまで一緒にバスで行こう!と、言われ、まだコロンビアに多少の危険を感じていたこともあり、結局、バスでの旅になった。

 そのときは勢いで返事をしたのだが、いざ、バスに乗っていると、バスに乗ったことを後悔し始めた。というのも、せっかく、生まれて初めての南半球への一歩がバスに乗ったままなのでいつ越えたのかも分からなかったためだ。

幸い、キトからさほど距離もないので日帰りで来ればいいかと、自分を慰めていたが、アンデス山脈を目のあたりにしたのは初めてで、白く雪を頂いた山々の姿はバスの中から見てもすばらしく、やっぱり、自転車で来たら良かったかなあと後悔してもしきれなかった。

 その二日後に赤道まで行ってきたのだが、実際に行って見ると、ただ赤い線が引いてあり大きなモニュメントがあるだけで、赤道を越えたからといってこれといって何かが変わったような気はしなかった。まあ、あたりまえのことなんだけど。

 とはいっても、ここを訪れた観光客のほぼ全員がすると言っても過言ではない儀式だけはちゃんと済ましてきた。そう、赤道をまたいで写真を撮るというあれだ。なんだかんだといってもやっぱり嬉しいもんだ。



 <<キトのすばらしき街並み>>

 キトは標高が2800m位のところにあり、酸素が平地よりは薄く、慣れないうちはちょっと歩いただけで息がきれたり、軽い頭痛がした。それに追い打ちをかけるかのように中心街は坂道ばかりで散歩するのも一苦労だったが、そんな苦労をしてでも散歩する価値があるほど、キトの街並みはすばらしかった。

 キトは大きく分けて3地区があり、坂道ばかりだけどすばらしい街並みの旧市街、日本大使館や近代的なビルが建つ新市街、そして全くと言っていいほど観光客とは無縁の住宅地区、ス−ル(南地区)だ。


旧市街は一般的なダウンタウンで治安も悪く、夜の10:00以降になると地元の人々もあまり出歩いたりしないところだが、安宿があり、安い定食が食えたり、またエクアドル庶民の生活を見たり、感じたりと、貧しいなかにも活気を感じることができる場所だ。

 新市街にはあまり観光で行く所はなく、エクアドルの情報収集の為、日本大使館に行ったくらいだった。やはり、比較的治安が良いと言われている国だけあって、特にこれといった危険情報は得られなかったが、ただ、ペル−との国境のジャングル側では多少いざこざがあるので避けたほうが懸命だとは言われた。

 キトの町には大きな<ハネシ−ジョ>という丘があり、その丘だけは行かないほうが身の為で、もし行くなら何人かつるんで行き、それも頂上まではタクシ−を使って行かないとほぼ確実に強盗に遭うだろうという場所があった。

 つるんで行く仲間もいなかったし、一人で行った場合、タクシ−の運転手までもが強盗になりかねないとも聞いていたので、断念した。その丘に登るとキト市内が一望でき、周辺のすばらしいアンデスの山々が見れたかと思うと残念だったが、こんなところで危険を犯す必要もないと自分に言い聞かせてキトの町を後にした。

次へ続く | Fogata号の軌跡目次へ

ご感想・ご意見・ご質問等はこちらへ